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『夢幻花』 著:東野 圭吾

mugenbana

『夢幻花』。
見つけても決して追いかけてはいけないという謎の花の物語です。

東野圭吾の文庫版最新作が刊行されました。
いろいろな小説を読んできましたが、やっぱり東野圭吾の小説は読みやすい。本作は、宿命を背負う二人の素人探偵が『夢幻花』という謎の黄色い花を追い求めるというストーリーです。

思わせぶりなプロローグから始まり、何の変哲もない平凡な大学生の日常が、とある事件を境にサスペンス風に変化していくのは東野小説の真骨頂。

花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治。正義を重んじる彼は自宅で殺害される。周治の遺体を発見した孫の梨乃は、周治が生前育てていた”黄色い花”をブログにアップロードすると、ブログに”警告”メッセージが投稿される。

梨乃は、”黄色い花”の謎を、大学院生の蒼太とともに追い求めることになるのです。

ストーリーとしては、いくつもの事件が絡み合って収束していくいつもの東野ワールド。登場人物たちの役柄や犯人の意外性は及第点、というと上から目線すぎますけど、それなりに興味深いもの。

今回のキーワードは”黄色い花”。実際にこのような花が存在したのかは知りませんけど、ともすれば都市伝説を追いかけるようなオカルティックな雰囲気は少し珍しいかも。

ストーリーは、梨乃と蒼太を主人公に置いた若者視点と、所轄の刑事・早瀬の視点で進められます。若さならではの猛進な捜査と、駆け引きを多用する老獪な捜査。二つの視点から謎を追う過程が楽しめます。

この物語のもうひとつのテーマは宿命。
50年前の”MM事件”との関係は?
”黄色い花”と蒼太の初恋の人との関係は?
読み進めていくうちに、謎が増えに増えて収拾がつくのか不安になりますが、そこは流石といったところです。

エンターテインメントとしては面白いけれど、後に何も残らないよね、という話をよく聞く東野作品。
私は面白ければいいじゃないのと思いますけどね。素直に楽しみましょう。

オススメ度 ☆☆☆

 

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『名探偵の呪縛』 著:東野 圭吾

名探偵の呪縛

 この本は、東野圭吾の本格推理観が凝縮された一冊なのだろうと思います。

高校を舞台にした本格推理小説『放課後』でデビューした筆者が、これまで様々なジャンルの小説を書き続けてきて、ついに至った本格推理への想いを、本作に込めて書き連ねているかのようでした。

本作は『名探偵・天下一』シリーズの作品です。別作の『名探偵の掟』では、主人公の天下一探偵と、刑事の大河原が、本格推理小説の、舞台裏をコミカルに揶揄するという、まさに掟破りの破天荒ユーモアミステリでありました。本作は、ユーモアどころか完全にシリアス。”心を入れ替えて”描かれた作品です。

本作の主人公は、小説家。
彼は、夢うつつの状態で、別の世界へ迷い込んでしまいます。そこは、何やら見たことのある世界。そうして自分が小説の主人公・探偵天下一大五郎となっていることに気付くことになるのです。

その世界には歴史がなく、誰もが「何のためにこの街ができたのか、自分は何のために存在するのか」を常に自答し続けている世界。そんな世界で発掘されたとある”アイテム”が引き起こす事件の解決を、彼は依頼されることになるのです。

探偵・天下一が係る事件というだけあって、トリックは本格のテイストを織り交ぜたキレのあるもの。ですが、作者が言いたいのはそんなことではないんです。

物語の終盤で、発掘されたアイテムの中身が明らかになり、小説家は元の世界に帰ることになりますが、そこで筆者の本格推理小説への想いが滔々と語られます。むしろこの最終章までのくだりは全て前座ではないのだろうかと思わせるほどの温度差を感じました。そこを説明するのは野暮な感じがしますが、幼い頃に遊んだ公園が道路整備で潰されていくような切なさに囚われて、少し感傷的になりました。

多様化していくミステリの世界に、漠然とした不安を感じている筆者の居た堪れない感情が伝わります。ああ、この人は本格推理が好きなんだなあ。

オススメ度 ☆☆☆

 

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『禁断の魔術』 著:東野 圭吾

高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある“企み”に気づくが…。
シリーズ最高傑作!

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『名探偵の掟』 著:東野 圭吾

完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?本格推理の様々な“お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。

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『虚像の道化師』 著:東野 圭吾

ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。
男は何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りた様子だったが、教祖は自分が念を送って落としたと自首してきた。
教祖は本当にその力を持っているのか、そして湯川はからくりを見破ることができるのか(「幻惑す」)。
ボリューム満点、7編収録の文庫オリジナル編集。

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