読書アイキャッチ

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』:著・東野 圭吾

悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函されたのか?3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くが…。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?

 

性懲りもなく、東野氏の新しい文庫を購入しました。
東野氏といえば、幅広いジャンルの小説を次から次へと執筆される安打製造機と心の中で勝手に思っていますが本塁打も平気で打ってきますので、油断は出来ません。

本作は、悪事を働いた3人組が記憶を頼りに古い家に逃げ込んだところから始まります。

その古い家とは、「ナミヤ雑貨店」。

廃業して誰もいないはずの店内に、郵便口からある一通の手紙が落ちてきます。悪いと思いながらも、3人組が手紙を開くと、そこにはとある”悩み”が書かれていました。3人組のうち1人が無責任にも手紙に返事を書き、同じように郵便口に放り投げたら・・・なんと、すぐさま返事が返ってくるではありませんか。3人は思います。

「ここは、過去と現在を繋ぐ空間ではないか」

3人組のお悩み相談室が始まるのです。

”Amazon”の作品紹介や本の帯に、東野作品史上、もっとも泣ける感動ミステリー!というアオリがつけられていましたが、これには賛同しかねます。この本を読んでどの部分がミステリーだと思ったのか、非常に疑問であります。
本作は、ありがちな”時空を超える”というテーマを取り扱った、ファンタジー作品にほかなりません。

氏の作品の中で個人的に印象深いファンタジー作品といえば、『虹を操る少年』です。異端すぎる選択かもしれませんが、好きなんです。
『虹を操る少年』では、音楽に代わる概念として”光楽”、つまり目で楽しむ芸術がある世界を表現されていました。今でいうプロジェクションマッピングのようなものでしょうか。刊行は1997年ですから、当時非常に斬新な発想であったことが伺えます。

”時空を超える”テーマを取り扱った作品でいえば、『時生』とか、最近であれば『パラドックス13』あたりでしょうか。どちらにせよ理系出身の氏にしてみれば、得意分野といえなくもありません。

『パラドックス13』では、スリル・サスペンスで味付けをされましたが、本作では『感動』で味付けをされました。ナミヤ雑貨店の悩み相談で救われた人、人生の転機を迎えた人などのさまざまな人生模様が描かれるほか、「なるほど!」と思わせる後半の巻き返しは、さすがとしかいいようがありません。

不可能犯罪も密室トリックも名探偵も登場しませんが、心温まる物語だったのではないでしょうか。
面白い切り口です。

オススメ度 ☆☆☆

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>