ラノベ

『ソードアート・オンライン アリシゼーション・ラスティング』 著:川原 礫

SAO18

ハリウッド映画化が進行中の人気ライトノベル『ソードアート・オンライン』の最新巻が刊行されました。

ソードアート・オンラインとは、元々は仮想空間の中に自らの感覚を再現して遊ぶバーチャルゲームマシンのゲームのこと。専門的な用語は避けますが、第1巻では、そのゲーム内に捕らわれて、ゲーム内で死んでしまうと、現実世界でも死ぬという設定が受け、かなり息の長いシリーズとなりました。

本作は、シリーズの中でも特に長い「アリシゼーション編」の最終巻。見所が多すぎますし、歳をとりすぎたせいか涙なしには読むことができない、そんな感動的な場面も多く盛り込まれているのです。

長い期間にわたり心神喪失状態という、主人公失格と言われかねない状況に置かれていた主人公、黒の剣士キリトもようやく覚醒し、因縁の敵PoH、そして暗黒王ベクタとついに刃を交えることとなりました。これまで関わってきたみんなの想いを!というベタで少年誌展開ではありますけれど、きっとみんなこれが読みたいのです。

アンダーワールドの戦いの結末だけではなく、無事に人工フラクトライト(簡単にいうと、高度なAIのようなものです。)アリスも現実世界へ脱出成功し、少し現実世界でのエピローグが語られることとなります。

単巻で物語が完結するケースが多いライトノベルというカテゴリの中で、よくぞ勢いを保ったまま最後まで書き上げ、かつ高品質の読み物に仕上げるあたり著者の力は素晴らしいものです。正直最後のほうは“心意”というなんでもありの力に頼った感もありましたが、ラノベはこれで良いのかもしれません。

この作品は、他のいわゆる異世界ものと呼ばれる量産ラノベとは違っていて、それなりに理屈があり、近い将来もしかしたら現実世界もこうなるのではないかという想像を掻き立てられるところに美点があるように思います。そして、ゲームの中でなら最強になれるし、かわいい子とも知り合えるという可能性を見いだした点を、読者層が評価したのかもしれません。かくいう私もその一人です。

少年向けの作品をハッピーエンドで終わらせるのは創作者の義務であると、勝手に思っています。その義務を見事に果たした著者に賛辞と、感謝の気持ちを贈ります。本シリーズは、web連載版に加筆修正したものでしたが、書き下ろしとなる新章を予定されているようなので、楽しみに待ちます。

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