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『弁護側の証人』 著:小泉 喜美子

弁護側の証人

 本屋を訪れると平積みの作品があります。その本屋が売りたい本、今売れている本なのでしょう。そこにこの本は積まれていました。

解説、道尾秀介。
読むしかないと思い手に取りました。

本作を読みながら驚いたのは、刊行が昭和30年代であるということ。戦後10数年といったところなので、まだまだ物資や金銭的にもそれほど裕福な生活を送れていたとは思えません。

本作は、そんな環境の中でかかれたサスペンス小説なのです。

お金持ちのお屋敷に嫁いだ元ヌードダンサー、ミミイ・ローイ。
本作は、会社社長である彼女の義父が殺害されるという事件に、彼女が巻き込まれていくというアウトライン。
その父と関係がうまくいっていなかった夫、遺産を狙う義姉、顧問弁護士、かかりつけ医師など、実に怪しげなキャラクターたちが多く登場します。

そんな中、元ヌードダンサーなどという、どこの馬の骨とも分からぬ人物が若当主の妻として嫁いできたのですから、家族親族はもちろんのこと、屋敷勤めの運転手や家事手伝いも、心中穏やかではありません。そういった背景の中、殺人事件が起きてしまうのです。

巧妙なトリックや斬新な動機が語られるわけではありませんが、とある”仕掛け”が施されています。
昭和30年代からこういった仕掛けを使ったミステリーが愛好されていたかと思うと、ニワカミステリーファンとしては意外な気持ちです。
文体が古いので少し読みにくさを感じるかもしれません。
我慢して最後まで読むと、作者の洗練された巧みな罠にからめ取られていたことに気がつくでしょう。

現代に読むと、さほど真新しくもない、いちミステリーかもしれませんが、古き良き名作には違いありません。

オススメ度 ☆☆☆

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