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『しんがり 山一證券 最後の12人』 著:清武 英利

しんがり

 この作品は97年に山一證券が破綻した際に、破綻した真の原因は何かを調査した社内の調査員たちのノンフィクションです。

 私はほとんど記憶にありませんが、当時随分大きく取り上げられたようでした。物語は、山一證券最後の12人が作成した調査報告書や当時の記録、関係者からの聞き取りによって形作られたノンフィクション。

しかしながら、ジャーナリストが執筆したためか、小説のようにまとまったものではありませんでした。

破綻に追いやられた山一證券の破綻原因を究明すべく自発的に集まった熱い社員たちのヒューマンドラマ。各人にエピソードがあり、密度の高い取材を続けられたことが伺えます。

それだけに、非常にテンポは悪いです。とある人物の見せ場を作るために、いちいち過去編のようなエピソードを刻んでいくので、冗長に感じます。そのため、時系列が混みっており、突然昔話が割り込んできたりして、リーダビリティはよろしくない。

また、ノンフィクションものだけあって、過剰な演出は抑えられており、逆に感情移入しにくい書きぶりになっているところが難点です。調査した事実の部分を、粛々と羅列していったような、そんな乾いた印象を文章から感じ取ってしまいます。

”しんがり”となった社員たちの努力と信念には驚嘆の念を感じますが、作品自体は少し残念なものでした。エピソードを詰め込みすぎた感があり、かなり蛇足な印象を受けます。
取材に基づいているので、少しでも多くのことを読者に知らせたい、という意図は伝わりますが、そのため読みにくさが勝ってしまうのでは本末転倒です。

ノンフィクション自体それほど読んだことがありませんので、このようなものなのでしょうか。

オススメ度 ☆☆

 

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