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『ジャイロスコープ』 著:伊坂 幸太郎

助言あります。スーパーの駐車場にて“相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。バスジャック事件の“もし、あの時…”を描く「if」。謎の生物が暴れる野心作「ギア」。洒脱な会話、軽快な文体、そして独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。書下ろし短編「後ろの声がうるさい」収録。

伊坂氏の新しい文庫が刊行されています。

ちょくちょく氏の文庫は、購入してはいるのですが独特の世界観を持っているためあまり合わずに、途中で読むのをやめてしまうことが多いのです。(ありていに言えばつまらないんです。)

本作は短編集。比較的読みやすいものが多く最後まで読みきることができましたのでご紹介しておきます。

「浜田青年ホントスカ」
相談屋の話。
相談があれば、何かのせいにして悩みの解決を図ろうとする胡散臭い相談屋の話です。
「本当っすか」が口癖の浜田君は、そんな相談屋からある頼まれごとをします。
嫌な客がくるはずだから、自分の代わりに相談屋をやって欲しい。
浜田青年と相談屋の奇妙な1週間が始まります。

最終的には伊坂氏らしいオチで締めくくられる普通の作品です。
最近読んだものは大概意味不明なオチで終わっていたので、安心して読めました。


「ギア」
”セミンゴ”という謎の生物が人間を侵略するというお話。
会話をしている人間たちは、バスに乗り合わせて全力でセミンゴから逃げ切ろうとしています。

SFではあるのですが、まったくワクワクしません。
セミンゴとかいう全長3mもある節足動物。
想像するだけで鳥肌ものなんです。

「二月下旬から三月上旬」

坂本ジョンという人間と主人公の馴れ合いを書いた話。
全く意味がわからないです。

「if」
もしあのときああしていれば・・・。
というよくある小説ではあります。
本作では、20年前にあったバスジャック事件に乗り合わせた人間が、再び同じようなバスジャック事件に乗り合わせてしまったというお話。

この短編集の中ではもっとも示唆に富む良いお話だと思います。

「一人では無理がある」

サンタクロースというのは、一人の人間ではなくてそういう仕組みなのです。というお話。
登場人物たちは、謎の組織に属していて、プレゼントの仕入れ、配布先の検討、配布など、12月24日に向けて日夜仕事に励むのです。

設定がなかなか面白いです。
序盤の伏線がキレイに回収されるあたりも伊坂氏らしくてこれは良いです。

「彗星さんたち」

新幹線が駅のホームに停車する7分間の間に、車内を清掃する仕事を行っている人たちのお話。目の付け所が面白いです。

「後ろの声がうるさい」
書き下ろしですが、本をまとめるために前の6編を取り入れた総集編的なお話。
無理やりなのでお話として成立していません。
蛇足です。

ファンの方には申し訳ないですけど、毎度読むたびにつまらないなぁと思ってしまいます。
『陽気なギャング』や『ゴールデンスランバー』あたりは楽しめたので、おそらく展開の速いエンターテインメント色の強い作品が個人的に好きなんだろうと思います。

最近の伊坂氏の作品は、ファンタジックな設定の上に、意味ありげな会話を載せただけの凡作にしか見えず、最後まで読みきることすら難しいものばかりです。このあたりは好みの問題もありますが、私同様エンターテインメント色の強い作品をお好みならば、本作はオススメできません。

オススメ度 ☆

 

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