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『追憶の殺意(自動車教習所殺人事件)』 著:中町 信

自動車教習所の配車係が川土手で頭を強打して死んでいた。さらに技能主任が密室状況下で殺され、続いて指導員が自分の車の中で殺されているのが発見される!指導員と教習生を巻き込み、複雑に絡み合った人間関係の中から、捜査線上に浮かんだ一人の容疑者。だが、その人物には、二重三重に仕組まれたアリバイが!?著者がミステリの正統(密室+アリバイ破り)に挑んだ傑作!

本作は、ミステリの大家・中町氏の本格ミステリ作品です。
あらすじは上記のとおりですが、登場する3名の人物が次々と殺されていきます。 警察がアリバイを調べても怪しい人物は浮かんできません。

ひょんなことから、怪しげな人物が浮かび上がっても、その人物には鉄壁といっていいレベルのアリバイがあったりして謎を解けば解くほど、新たな謎が広がっていく傑作です。

本作は中町氏が1980年に発表した旧徳間文庫版『自動車教習所殺人事件』の改題版です。 なんだか分かりにくいタイトルに変更されていますが、タイトルなどどうでもいいのです。

『模倣の殺意』などに見られる奇抜な叙述トリックを使ったものではなく、密室状況の殺人と国道を使ったアリバイトリックをメインにさらに細かいアリバイトリックが散りばめられた純粋なミステリです。こういうオーソドックスなアリバイ崩しものは最近ではほとんど見かけなくなりました。

細部は割愛しますが、読み応えのある良作だと思いました。

グロテスクな描写や異常な動機やらでなんとなくごまかしている昨今の作品群とは違い、密室の謎、アリバイトリックなど読者が謎に引き込まれていくストーリーに、巧妙な伏線が散りばめられ、オーソドックスではありますが、切れ味のある作品となっています。

意外な結末というわけでもなく、読後になにかが残る、というわけでもありませんが、純粋なミステリというものはそれでいいのではないか。

そんな風に思える一作です。

オススメ度 ☆☆☆

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